社長挨拶

ITLについて

 株式会社アイ・トランスポート・ラボ(略称ITL)は2000年10月に設立された、道路交通に関するコンサルティングやソフトウェア開発を業務とする会社です。設立にあたっては、交通工学に携わる約10名の大学教員が集まって資本金を出資し、いわゆる大学発ベンチャーとしてスタートしました。東京大学生産技術研究所、東北大学、千葉工業大学などと連携して研究活動に取り組んでいます。

ITLのシミュレーション製品と技術

 ITLの主力商品は、東京大学生産技術研究所での10年以上に渡る研究開発成果を製品化した「街路網交通流シミュレーション AVENUE」と「広域都市道路網交通流シミュレーション SOUND」の2つのシミュレーションモデルです。

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 AVENUEは、数キロ四方程度の街区における各種渋滞緩和策の評価を目的として開発されたミクロシミュレーションモデルです。車両を一台ごとに表現し、車線変更や信号制御などの詳細な挙動を考慮しています。信号制御方式や車線運用、道路改良、迂回誘導、情報提供など、様々な場面に適用可能な柔軟性を備えており、ユーザの適用事例を含めれば、これまでに100件以上の実績があります。

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 SOUNDは数10km四方に及ぶ都市圏全体の道路ネットワークにおける、道路整備や信号制御改良、情報提供などの各種施策の効果を評価するために開発されました。街路だけでなく、高速道路も含めたネットワークを扱うことができ、車両を一台ずつ表現しているのが特徴です。これまでにも東京都におけるロードプライシング施策の評価や、ETC導入のネットワーク全体での渋滞緩和効果の推定など、多くの研究事例が報告されています。

 これまで交通シミュレーションは、コンサルティング業務において、各種施策の事前評価に利用されてきました。ITLではこれからのシミュレーションは、実世界で稼働するシステムと連携して、将来の交通状況を予測するエンジンとして利用されるようになると考え、製品開発を行っています。AVENUEとSOUNDも、グラフィックユーザインターフェース(GUI)を備えたパッケージ版に加え、GUIを持たないエンジンとして実装されたプログラムを製品化し、ITS市場で活躍するメーカー等に提供しています。これらのエンジンは「交通シミュレーション汎用フレームワーク」を用いており、共通のAPIを通して各種のシステムに組み込んで使えるよう、コンパクトに設計されています。特にシミュレーションエンジン「SOUND/A-21」は、警察庁が整備する「旅行時間予測検証システム」や国土交通省開発の交通流シミュレーションソフト「SIPA」のマクロシミュレーションエンジンに採用されています。

ITLのこれから

 交通シミュレーションに続くビジネスとして、ITLでは交通情報サービスに関わる基礎技術開発に注力しています。研究テーマを「データを収集・加工・蓄積する技術」、「得られたデータを利用する技術」の2つの方向性で整理したのが、下図の「技術マップ」です。前者では,特にプローブ情報収集システムの可能性に関心があり、渋滞情報の抽出や行動パターンの分析などの研究を進めています。後者では、旅行時間の予測手法や信号制御技術の高度化など、道路交通管理に関わる技術開発が主要なトピックとなっています。
 これまでの日本では、行政が道路交通の管理を一手に引き受けていましたが、将来はその一部を民間企業が担うことも十分に考えられます。2002年の道路交通法の規制緩和では、道路交通情報を民間企業が独自の判断で提供できるようになりました。
 このような来るべき将来においては、一定の水準を保つためにも、信頼できる基盤技術が共有された上に、サービスが構築されていくでしょう。その基盤技術にITLの研究成果が使われるようになるよう、切磋琢磨を重ねていきたいと思います。